「英語は実利、国語は教養」という分け方、そもそも間違っていませんか?
こんにちは。鈴木貴之です。
今回は、英語教育そのものについて最近思うことがあったので、言語化して記事にしてみました。
英語教育の本質というものを考えてみたい、という方には役に立つ内容になっていますので、興味のある方は読んでみてください。
SNSで見かけた、ある教育論争
先日、SNSであるスレッドである投稿が話題になっていました。
文部科学省が進めている教科の授業時数の見直しについて、「国語や算数の時間が削られ、英語だけは削減対象から外れている」という内容の投稿でした。
投稿者の方は英語教育に携わる方で、こう述べていました。
「英語やプログラミングのように『目に見えて即座に役に立つこと』が重視される一方、国語や数学のような『一見役に立たなさそうに見えて、人間として生きていく上で不可欠な思考力や教養』が軽視されている」
この投稿には多くの共感コメントが寄せられ、「英語は実利的なスキル、国語や数学は本質的な教養」という構図で議論が広がっていきました。
私自身、この投稿には共感する部分も多くありました。
ただ、14年間英会話教室を運営してきた立場から見ると、一つだけどうしても引っかかる点がありました。
それは、「英語=実利、国語・数学=教養」という分け方そのものです。
そもそも、この制度は「英語だけ優遇」ではありません
まず事実関係を整理させてください。
文部科学省が検討している「調整授業時間数制度」は、特定の教科(国語・算数など)だけを狙って削減する制度ではありません。
各教科の授業時間数を、学校の裁量で最大15%程度まで増減できるようにする、という柔軟化の制度です。
実際、この制度をめぐっては「国語・算数だけが削られる」という報道の一部が誤解を広げてしまった、という指摘も出ています。
むしろ現場の教員に対する調査では、算数は「削減するのが最も難しい教科」の筆頭に挙げられており、「基礎教科だから真っ先に削られる」という単純な話ではないことがうかがえます。
つまり、「英語だけが特別扱いされている」という前提自体、一度立ち止まって確認する価値があるものでした。
でも、本当に大事なのは事実関係ではありません
正直に申し上げると、この記事で一番伝えたいのは「事実はこうでした」ということではありません。
むしろ、事実関係を差し引いても残る、もっと大きな問題があると考えています。
それは、「英語=実利的で浅いスキル」「国語・数学=人間形成に不可欠な教養」という、この対立の立て方そのものです。
実利と教養は、本当に対立するものでしょうか
私は英会話教室の運営とあわせて、企業のコンサルティングの仕事もしています。
ですので、「実利を追い求めること」自体を否定するつもりは全くありません。
むしろ実利は大歓迎です。
ただ、実際にビジネスの現場で「選ばれる」ということを突き詰めて考えると、あることに気づきます。
それは、本当に選ばれる仕事は、必ず相手を深く理解することから始まっているということです。
「金を稼ぐこと」だけを目的にした商売は、特に小さな規模の事業者ほど長続きしません。
お客様が何を求めているのか、何に困っているのかを理解しようとする姿勢がなければ、選ばれ続けることはできないからです。
これは、起業家教育やアントレプレナーシップ教育についても同じことが言えます。
「金、金、金」という発想だけの起業教育が薄っぺらく感じられるのは、そこに他者理解という土台が抜け落ちているからです。
逆に言えば、本物の実利教育は、必ず「相手を理解する力」という、一見遠回りに見える教養と地続きになっているはずです。
英語も、同じ構造を持っています
ここで英語の話に戻ります。
英語を「話せるようになる」ことは、確かに目に見えてわかりやすい、実利的な成果です。
しかし、英語を使って自分の考えを伝えるという経験は、実はそれだけでは終わりません。
日本語での作文や会話は、多くの場合「相手も自分と同じ文化的な前提、同じ文脈を共有している」ことを想定して成り立っています。
しかし外国語で誰かに何かを伝えようとするとき、その前提は通用しません。
相手は自分と同じ常識を持っていないかもしれない。
そういう相手にもわかるように、自分の考えを組み立て直す。
これは、母語だけの学習ではなかなか鍛えられない、独特の思考の訓練です。
つまり英語学習は、教え方次第では単なる「話せる・話せない」という実利のレベルにとどまらず、「自分の当たり前を疑い、相手にわかる形に翻訳する」という、教養の領域にまで踏み込む力を持っているのです。
だからこそ、当教室が大切にしていること
こうした考えから、当教室では「英語が話せるようになること」も大事にしていますが、さらにその先の「伝わるように考える力」を大切にしています。
例えば、当教室ではリピート(決まった受け答えの反復練習)だけのレッスンは行っていません。
生徒さん一人ひとりに、自分自身の意見を英語で言ってもらうことを重視しています。
決まった答えを覚えるだけでは、その箱の外にあることには対応できないからです。
また、フォニックス(英語の音と文字の関係)をしっかりと学んでいただくのも、単に発音や読み書きをきれいにするためだけではありません。基礎がしっかりしているからこそ、その先で「自分の考えを、自分の言葉で伝える」という、より高度な思考に時間とエネルギーを使えるようになるのです。
宿題を出さないという当教室の方針も、同じ考え方の延長線上にあります。
やらされる勉強では、本当の意味で「考える力」は育ちません。
英検にチャレンジしたいという気持ちが生徒さん自身から出てきたときに初めて、自分の意志での学習が始まる。
そうして初めて、実利(英検合格、話せるようになること)と、教養(自分で考え、自分の言葉を選ぶ力)が、両方とも育っていくのだと考えています。
分けるべきは教科ではなく、中身
「英語は実利、国語・数学は教養」という分け方は、一見わかりやすいのですが、実際にはあまり正確ではないと感じています。
本当に分けるべきなのは、教科の種類ではありません。
その学びの中に、相手を理解しようとする姿勢があるかどうか、それだけです。
浅い実利主義に見える英語教育も、深く突き詰めれば教養に行き着きますし、逆にどんな教科であっても、暗記だけで終わってしまえば、それは浅い学びで終わってしまいます。
当教室が目指しているのは、まさにこの「実利と教養が重なる場所」での英語教育です。
もしご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ一度体験レッスンにお越しください。
宮城県塩竈市にある少人数制・英会話重視の英会話教室「塩釜BTC英会話教室」
営業時間:9時から21時(日・月曜日定休)
〒985-0026 宮城県塩釜市錦町4-3
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